時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】

1 題名 

IP NOISE

2 作者 マサフトさん
3 投稿 18/12/20
4 書出 『薄暗い牢獄のような部屋。』

 

闇から現れ、闇に去る――

誰かを連れ去るなら『電車』であるに違いないという作者様の美学を感じました。

 

504 Gateway Timeout』を扱う作品がきっとあるだろうとは思いましたが、まさか、こういった作品になるとは思いませんでした……

コンテストテーマを活かそうとされた気概を評価したいです。

 

ステータスコードを活かして擬人的に作品展開する、というのはわかるのですが、用語の説明で終始するのではなく、モノガタリとして構成を練ってほしかったです。本作では、登場人物も、場面設定も、世界観も、魅力的に感じられる要素は残念ながら見当たりませんでした。

そう考えると『電脳コイル COIL A CIRCLE OF CHILDREN』(アニメ,監督: 磯光雄マッドハウス,2007.)は素晴らしい作品だったと思わずにはいられません。

 

(メモ)

◎『短く刈り上げた黒髪と、深く黒い瞳の精悍な顔立ちは誠実で正義感の強さを連想させる』

 →既存作品のテンプレートに引っ張られている気がします。オリジナルな表現を模索されることを願います。

 

◎『彼は独り言めいてつぶやき状況を判断をしようとしたが、思いがけず答えが返ってきた』

 →『独り言めいてつぶやき』は表現が過剰だと感じます。

 

◎『声の主の方を振り向くと、部屋の角にうずくまる様に膝を抱えて座る老人が居た』

 →ものすごく個人的な意見になりますが、老人が『膝を抱えて座る』ってすごく無理のある体勢じゃないでしょうか?

 

◎老人の語尾『の』、『だの』、『ぞの』、『じゃの』

 

◎『ロッレの質問には答えず、アナイは骨の様な指で部屋の対面の老人を指差した。うずくまって死んだ様に眠っている…いや、実際事切れている。ロッレは黙って従い、その老人は眺めた』、『言われるまで忘れていたが、軍人だった気がする。なにか大きな戦闘の途中で気絶して、気が付いたらここにいた様な気もする』

 →作品をとおして、視点が微妙に揺れている気がします。ちなみに細かい点ですが、『老人は眺めた』とは?

 

◎『扉がひとりでに解錠され、ひとりでに開くと、電子的に青白く発光する人の形が入ってきた』

 

◎『合って間もない人物だが、そう考えると途端に心細くなった』

 

◎『電子的に青白く発光する人の形』、『彼』、『光る人間』、『光るやつら』、『ブルースクリーン』、『電子人間』

 →全て同一のものを指す。