第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
獣の別名
2 作者 クナリさん
3 投稿 19/01/21
4 書出 『高校二年の十二月。』
条件付きとはいえ任意の対象者の頭を爆散させる超能力は驚きの設定でした。『十数年』の月日を経てもなお『自己申告』でしか罪に問えない社会構造のなかで、ここまで生き抜いてきた主人公はきっと強い人だったのだろうと感じました。
『エクスプローダ』――それは我々の日常に紛れた異質な力……
①任意の対象者に手をかざす。
②破裂する光景をしばらくイメージする。
③対象者の頭は、破裂する。
十数年前から相次いで確認された『エクスプローダ』達。わかっていることは、たった4つ――
①哺乳類にしか能力は発動しない。
②対象が犬や猫以上の大きさでないと能力は発動しない。
③能力を有するかどうかはやってみなければわからない。
④両手を無効化すれば能力は発動しない。
そんな社会にあって主人公はある日、猫が破裂するところを目撃する。『あなた、エクスプローダだよね』と同級生に詰め寄られるが、己がそうでないと、主人公は確信していた……なぜならば! という内容でした。
「リア充爆発しろ!」って今となっては懐かしいセリフですが(ちょっと検索したら10年前でした……)、本作では問答無用で弾けます。頭部が。
頭部が破裂する、というと個人的には『戦闘破壊学園ダンゲロス』(架神恭介,講談社,2011.)に登場するサドンデスソースという能力(カレーの辛さを任意に設定できる超能力。激辛設定で頭が弾け飛ぶ)を思い出します。なんだか、懐かしいですね。
ついでに思い出すといえば、『キングスマン』(映画,監督:マシュー・ヴォーン,2014.)のラストも思い出します。ひどい映画でした(褒め言葉
本作では上述の既存作品のような「頭が破裂する理由」が特に無く、ただ単に、頭が破裂します。ネーミング的にも、別に頭じゃなくても良かったんじゃないでしょうか? というのが個人的な印象ですが、インパクト重視でしょうか?