第171回 時空モノガタリ文学賞 【 音 】
1 題名
バトルロワイアル
2 作者 風宮 雅俊さん
3 投稿 19/07/22
4 書出 『夜八時、開始の花火が上がった。』
花火で始まり花火で終わるイベントというところに季節感と夜ならではの効果を感じました。
『年に一度の夜戦イベント』に参加する主人公。次々と参加者が脱落する理由を考察しつつ、『背後にいるスマホ野郎に撃ち込む』ことでイベントを終了させる。『「お前の足音は聞こえなかったぞ」』と口を尖らせる参加者に『俺は、地下足袋だからな』と告げて話が終わる。
選ばれし野郎共。
サバイバルゲームのお話なのかと思います。
明言されていないのでわかりません。
ストーリーとしては、冒頭から語り部が「俺には全部わかってるぜ」という感じで話が進み、最終的に語り部が勝利します。別にどんでん返しもないですし、息つく暇もないアクションが繰り広げられるわけでもありません。
そう考えると個人的には、本作の目玉は数々の呼び名だと思っています。
それらは大別すると『奴』か『野郎』に分類されます。
【奴】
・不用意に動く奴
・『夜戦』の意味を考えずにプレーする奴
・暗視スコープを持った奴
・金の力に勝てない奴
・隠れて勝ちを狙う奴(←作中には登場しない)
・迂闊にもサーチライトに照らし出される奴
・ワザと足音を立てて歩いて行く奴
【野郎】
・暗視スコープ野郎
・ニヤケスコープ野郎
・スコープ野郎
・連射野郎
・スマホ野郎
もう、おわかりですね?
『暗視スコープ野郎』の優遇されっぷりが(ぇ
(ちなみに、『暗視スコープを持った奴』、『暗視スコープ野郎』、『ニヤケスコープ野郎』、『スコープ野郎』は同一人物だと思われます)
……何と言いますか、姓名を与えないキャラクターを登場させる時は、名前が無いからこそもう少し造形に愛情を感じさせてほしいところです。
・『「馬鹿め !」と、思わずつぶやいてしまう連射野郎の目の前から撃ち込む。と、そのまま背後にいるスマホ野郎に撃ち込む。』
ちなみに上記の決着のシーンは画像としてイメージできませんでした。
『連射野郎』さんと『スマホ野郎』さんの間に割り込んだ、てことでしょうか? 場景描写にもっと力を入れていただきたかった、というのが読者としての感想です。全体的に謎描写が多かった気もしますが。
・『? 音が途切れた ! 俺の背後か! あの場所に木はない。』
・『? 風音に紛れて足音も聞こえていた。』
上記の二文は疑問符・感嘆符の使用意図が正直よくわかりません。