時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第164回【着地】

【 着地 】の(個人的)傑作選

投稿数58件。予想に反して投稿数の伸びなかったコンテストになりました。 身近に感じるテーマであるゆえに個性を出しづらく感じられたのか、はたまた、季節の寒さゆえか…… 以前のコメントでも触れましたが、コンテスト募集ページのイメージ画像の印象が強か…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 紙飛行機 2 作者 木野 道々草さん3 投稿 19/01/214 書出 『夕食を作っていると、五歳になる娘が犬を飼いたいと言い出した。』 面白かったです。 紙の造形物を魔法や何らかの技法で使役する、という描写は個人的には大変好みです。 ただ、御作のよ…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 落下中着地中 2 作者 mokugyoさん3 投稿 19/01/214 書出 『俺は、青空をどこまでも落下している。』 『質問したら必ず答えてもらえると思うな』。おっしゃるとおりだと思いました。 主人公が青空を落下するところから話が始まります。途中、『空…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 カエルのミドリ 2 作者 壬生乃サルさん3 投稿 19/01/214 書出 『ボク、カエルのミドリ。』 最後の一文に、13階の高さから路面に叩きつけられた太ったアマガエルの凄惨な姿が思い浮かび、思わず身震いしてしまうほどの作品でした。 『……グゥェッ。…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 宇宙からの贈り物 2 作者 冬垣ひなたさん3 投稿 19/01/214 書出 『小惑星探査機『MUSES-C』(ミューゼス・シー)から分離された半円体のカプセルは、蟻が歩くほどの速さで母星へ向けてゆっくり進んでゆく。』 当時の盛り上がりを思い出させてくれ…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 僕は棒高跳びの選手だった 2 作者 青苔さん3 投稿 19/01/214 書出 『呼吸を整え、左足を一歩前へ。』 誰かのことを考えながらジャンプに挑む主人公の熱意が伝わる作品でした。 主人公・僕は棒高跳びの選手であったが、ある怪我をきっかけに競技か…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 祭り 2 作者 田辺 ふみさん3 投稿 19/01/214 書出 『ポーン。』 高価であるらしいバラの花を、残念賞として提供してくれる屋台店員の気前の良さが印象的でした。 『シナノは横向きにロープの上に立つように足をのせた。それから、勢いよくロープ…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 ハルタ、街へ行く 2 作者 宮下 倖さん3 投稿 19/01/214 書出 『旅立ちの時は来た。』 誰かにとっての特別になりたいという想いを抱いた旅立ち――ロードムービーの醍醐味ですね。とはいえ、無条件に必要とされる場面にはなかなか出会わないのが常で…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 そらをとぶもの 2 作者 森音藍斗さん3 投稿 19/01/214 書出 『おおきくなったら鳥になりたくて、でもなれないから飛行機に乗ったんだ。』 妥協した結果としてのパイロット……とでも言うかのような冒頭に対して、『鳥に生まれずここに座っているこ…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 人生の階段 2 作者 秋 ひのこさん3 投稿 19/01/214 書出 『僕は人生とは登るのではなく、降りるに近いと思うのだ。』 面白かったです。 『達成とは着地』という考え方が興味深かったです。『勇気を出してひょいと身を投げ、歯を食いしばって着地…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 足枷同盟 2 作者 小高まあなさん3 投稿 19/01/204 書出 『三十代後半。』 面白かったです。 部屋の中を5cm浮いた状態で移動するのは大変そうだと感じました。 『歩いても進まないので、家具に捕まりつつ、手で進む。』とあるので、手が何にも届…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 日常百合は虚構なのか 2 作者 戸松有葉さん3 投稿 19/01/204 書出 『「チョコメロンパンって、絶対おかしいと思うわけよ。元々メロン要素少なかったメロンパンなのに、チョコ味で実物のチョコも入っていて、色もチョコレートだったら、これはもう…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 ウサギと面倒くさいカメ 2 作者 naokitiさん3 投稿 19/01/204 書出 『気温に敏感な俺は、春になると嫌でも目が覚める。』 子々孫々にいたるまで勝負を挑む、というウサギの覚悟がどこか清々しく感じられる作品でした。 家族が出てきたので『リー…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 サトルの恋と重力の関係 2 作者 実さん3 投稿 19/01/204 書出 『サトルがジャンプしたのもつかの間地面はどんどんと遠ざかってしまった。』 『宇宙から重力が奪われてしまったようなのだ』という驚きの設定が目を引きました。 コンテストテーマと…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 向日葵の風船 2 作者 野々小花さん3 投稿 19/01/204 書出 『高校生になったばかりの今の私の生活は、平穏そのものだ。』 とても面白かったです。 甘えるのが苦手な主人公が両親の離婚に際して、より一層、自己の拠り所に覚束なさを感じる……そんな…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 極楽鳥の降り立つ部屋 2 作者 待井小雨さん3 投稿 19/01/194 書出 『脚のない鳥が飛んでいた。』 語り部の望みとは違うのでしょうが、足の無い極楽鳥がやはらかな苔に不時着するイメージにうっとりしてしまいました。 非常に個人的かつ偏見に満ち…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 猫が木に登ったのは運命か 2 作者 白汐鈴さん3 投稿 19/01/194 書出 『運命について考えようと思う。』 運命の言葉に翻弄される主人公の心と思考の移り変わりを楽しく読ませていただきました。 手を伸ばす仕草が崇高なものにすら見える女神、水嶋…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 ツイスミ不動産 物件6: お仕事付き一軒家 2 作者 鮎風 遊さん3 投稿 19/01/194 書出 『気温14℃、随分と暖かくなってきた。』 キザで苦み走った燻し銀で人差し指を頻繁に振る男性が魅力的でした。 時代を感じます。 前に読ませていただいた『…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 エレベーター 2 作者 64GBさん3 投稿 19/01/194 書出 『オレは今エレベーターホールを真っ逆さまに落ちている。 』 エレベータのかごの中にいるのかしら、と思わせて生身で落下しているという事実が衝撃的ですね。 やぶれかぶれにも思える主人公…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 そして、動き出す 2 作者 若早称平さん3 投稿 19/01/184 書出 『ドラえもんが靴を履かないのは少し宙に浮いているからだ。』 面白かったです。 中学時代には『宗教を作るだとか、足跡を使ったトリックで完全犯罪をするだとか』というアイデアを『…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 上だけの世界 ~いつ着地するのか?~ 2 作者 とむなおさん3 投稿 19/01/154 書出 『ウツウツ……とした気分で、僕は目を開けた。』 謎の踊り場。 不気味な黒いドア。 反転した世界に生きるチャーミングな女性。 黒スーツ姿のガイノイド。 そして主…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 着地失敗 2 作者 W・アーム・スープレックスさん3 投稿 19/01/104 書出 『惑星探査ロケット『クマタカ』は、その名のとおり鳥のように軽やかに地面を離れると、上空高く舞い上がっていった。』 超能力者が一般に認知される社会では、産業も学術…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 田中 2 作者 実さん3 投稿 19/01/064 書出 『田中にはいつにもまして自信があった。』 『靴をネックレスにして首にかけ二十階の高さから飛び降』りるという奇行に走らずにはいられない。 そんな主人公の追い詰められた雰囲気が淡々と羅列されてい…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 交響曲異譚 2 作者 三明治さん3 投稿 19/01/064 書出 『時は文化5年と申しますので19世紀初頭1808年、処はヨーロッパ音楽の都ウィーンでこと。』 時空モノガタリさんで講談調の作品を拝見するのは珍しかったので興味深く読ませていただき…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 異能力窮鼠 2 作者 悠真さん3 投稿 19/01/064 書出 『数十分前に死を覚悟したつもりだったが、いざ目前に迫ると、そんな覚悟は所詮形だけだったのだと、自分の生への執着心の強さを思い知らされるのだった。』 コンテストテーマを意識された超能…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 未来人田中 2 作者 実さん3 投稿 19/01/054 書出 『田中はいつにも増して憂いていた。』 『人間で作られた車』というものがどんな外観なのか想像ができませんでしたが、きっと作者様にはイメージが浮かんでいらっしゃるのだろうと思いました。 『…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 月への行き方 2 作者 micchoさん3 投稿 19/01/054 書出 『ヘルメットの中の乾いた呼吸音だけが、一定のリズムで鼓膜をかすかに震わせている。』 兄と比較され、叱られながらも捻くれることなく、兄に憧れ続けることができた主人公の強い思いが伝…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 恋は落とし穴 2 作者 浅月庵さん3 投稿 19/01/044 書出 『俺の周りにはキュートな女の子がいっぱいいるので、みんなのことが好きになる。』 自己中心的に愛を探し続ける主人公。 刹那主義かつ他者の本質に興味なんてないように見える彼にとって、…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 着地狩り 2 作者 越百まひろさん3 投稿 19/01/044 書出 『着地狩りがまず基本だ。』 熱中しているゲームにも理性的である主人公の落ち着きが興味深い作品でした。 小説でゲーム仕様を描くには、膨大な情報を取捨選択する視点が必要になる、と改め…

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 ワンシーンの代役 2 作者 悠真さん3 投稿 19/01/044 書出 『撮影は十秒にも満たない一瞬の着地シーン。』 煮詰まっていると感じる時にも他者の言葉に素直に耳を貸す――そんな主人公の純粋さが好印象の作品でした。 プロフェッショナルたろうとする…