第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】
1 題名 うさぎ小屋に名前を
2 作者 秋 ひのこさん
3 投稿 18/12/04
4 書出 『アパートやマンションのことを、祖父は「うさぎ小屋」と呼んだ。』
面白かったです。
一戸建て至上主義とでもいうかのような態度の祖父や、表札を掲示しないことを「都会ではそういうものなのだ」と説明する主人公は、リアリティがあり非常に読みやすかったです。
『その祖父に、死んでしまえと何の罪悪感も伴わず願えるようになったのは、中学の頃だ』、『心のどこを探しても哀しみというものが見つからない』等、相当な確執を感じさせますが、このお二人に一体何があったのでしょう。
正直なところ、主人公と祖母の間に何があったのかを描かなければ、本作の結末で感じられる清々しさは半減するかと思います。