第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】
1 題名
滲み出る
2 作者 待井小雨さん
3 投稿 18/12/23
4 書出 『母は体調を崩すと体臭にあらわれた。』
面白かったです。
(※テーマとは少し違う気がします。【家族】か【におい】でしょうか……)
それぞれが「拒絶」という一方的な立場にあるようでいて、妻や娘を放逐しきれない父も、夫と娘を強力に絡めとる母も、家族の枠を力ずくにでも保とうとする娘も、相互依存関係にあるところに読み応えを感じました。
『心を弱らせやすい人で、体の方がそれに影響を受けるのだ』と冒頭で主人公が断言していた背景にも、母から言い聞かされたり、父の誤魔化しだったり、己の思い込みのようなものが形作られる歪な家族関係があったのだろうと想像すると、ぞっとします。