第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
月への行き方
2 作者 micchoさん
3 投稿 19/01/05
4 書出 『ヘルメットの中の乾いた呼吸音だけが、一定のリズムで鼓膜をかすかに震わせている。』
兄と比較され、叱られながらも捻くれることなく、兄に憧れ続けることができた主人公の強い思いが伝わってくる作品でした。
体操選手の家に生まれた主人公だが、幼い頃からの英才教育についぞ芽が出ることはなかった。一方で、二歳年上の兄はめきめきと力を付けていく。ある夜、「月まで行けばバク転だってできるのかな」とこぼす主人公に、兄は「宇宙船なんかなくたって、月に行けるんだ」と空中で二度宙返りする大技を見せ、落下して、死ぬ。
そんな兄を思い出しながら、宇宙飛行士になった主人公は月面で宙返りをする。
というような作品でした。
素材は王道で良いと思うんですが……なんでしょう。この腑に落ちない感じというか、「良い話風にしてやったぜ」という主張が見え隠れするような錯覚は……演出、かなあ。