第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
そして、動き出す
2 作者 若早称平さん
3 投稿 19/01/18
4 書出 『ドラえもんが靴を履かないのは少し宙に浮いているからだ。』
面白かったです。
中学時代には『宗教を作るだとか、足跡を使ったトリックで完全犯罪をするだとか』というアイデアを『よく考えもせずに』と切り捨てていた主人公――うまくいかない日々ゆえの鬱屈した想いもあるのでしょうが、自身の特殊性を躊躇なく犯罪行為に向けるようになった彼の成長の仕方が興味深かったです。
すみません……中学じゃないですね。高校でした。恥ずかしい……
読みやすい文章に感じられました。
だからこそ、気になってしまう部分もあるわけで……
(個人的に物申せば……)
◎『もちろん直球でではない。』
→もちろん「直球で」ではない、という意味の記述? でで?
◎『 そう言って高瀬は足下の枝を拾った。それを高く投げる。「な?」
なんのことだか分からない俺に高瀬は手を開いて見せる。さっき投げた枝がそこにあった。
「時間を止められるんだ。ただし、ジャンプしている間だけ」』
→描写がわかりづらく感じる。投げた枝が落ちてこない、という表現があった方がわかりやすかったのでは?
◎『高瀬が俺に背中に飛び乗るが』
→俺の?
◎『「俺と組もうぜ。最高のコンビニなれるぞ」』
→最高のコンビに?
◎『やることといえばスリや窃盗といった犯罪だ。』
→スリと窃盗が同列に並ぶ表現に違和感。スリは窃盗行為に含まれるのでは?
◎『俺は浮いている間泳ぐようにして少しづつしか移動できない。』
→後出しの設定感がある。冒頭で触れても良かったのでは? というか『ドラえもん』的であるならば、歩けるのでは?
◎『抵抗するために両手の持っていた札束を投げ捨てる。』
→両手に?
◎『高瀬が俺の背中なら離れる。』
→背中から?
……どうでもいいですが、ATMを操作して、両手に持った札束を懐にしまう主人公に、必死にしがみついている友人・高瀬のイメージがダッコちゃんのようで、ちょっと可笑しいです。