第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
芸の為なら
2 作者 高月雫さん
3 投稿 19/02/18
4 書出 『大手得意先のA社の社長は、一見ヤクザのような風貌をしている。』
職場の上司とも取引先とも食事をしなければならない『秘書室ご一行様』の大変さが垣間見えました。また、感嘆符多めの構成に、勢いをつけようという意思を感じました。
◎あらすじ
本作は、主要取引先との食事会の二次会でカラオケに行って歌う女性が主人公の作品です。
◎感想
『学園天国』、『キョンキョン』、『ピンクレディ』、『UFO』、『ウインク』、『モーニング娘』と……個人的には最も参加したくないタイプの二次会だったと想像してしまい、読んでいて少し息苦しさを感じました。すみません。内容関係なく個人の嗜好ですのでお許しください。
内容はタイトルどおりです。こういうことを言う方がよく武勇伝のように語る経験談が物語として描かれています。本人が満足されているならそれで良いとは思います。
以下、気になった文章などを箇条書きします。
◇『A社を担当していた課長が、商品手配を大幅にミスした』
⇒『商品手配を大幅にミスした』はざっくり過ぎませんか。イメージがし辛く一度文章に躓く気がします。納期とか数量とか種別とか……そもそも主人公はどんな会社で働いているんでしょう?
◇『運悪く、課長の下にいた私が、担当せざるを得なかったが、無いものは無い』
⇒『無いものは無い』が唐突に思えます。やはりミスの内容を先に書くべきだったのでは?
◇『入荷未定の返信を送り続ける事ない日々・・・』
⇒不勉強でお恥ずかしいのですが、『事ない日々』ってどういう意味ですか? あと三点リーダの使い方を再考いただければと思います。
◇『「商品確保が、予測数を超えた際は、入荷遅延の場合がございます」と、ちゃんと明記されている』
⇒『商品確保』、『予測数』、『入荷遅延』等、読んだ人間の誤解を招くような独自ルールの単語を並べて『ちゃんと』と言っているところが理解できない。それぞれ意味するところがよくわからないです。
◇『A社は遅延を認めたていたということになる』
⇒A社は遅延を認めていたということになる、だと思います。
◇『社長は、振り下ろしたこぶしを下ろすことが出来ずに』
⇒振り下ろしてるじゃないですか……
◇『「なんで報告せんかったんや!、俺に恥をかかせたな!」』
⇒感嘆符と読点の使い方について再考をおすすめします。
◇『高級松坂肉のすき焼きコース』
⇒松坂肉、てなんでしょう?
◇どうでもいいですけど『秘書室』イコール『女性』として説明なしに描かれているところにリアリティを感じません。
◇『私はびきっときた』
⇒びきっ
◇『誰が一緒に食事なんが・・・・』
⇒なんがー、て方言ですかね。
◇『その社長のその一言で、私は、弾ける事にした!』
⇒その、が過剰じゃないですか? どちらか一方か、むしろ『その社長の』はいらないような……
◇『彼女は、波波とグラスに冷酒を注いでくれた』
⇒波波というのは酒に溺れる的な要素を表現されようとして作られた言葉でしょうか?
◇『いきなりそのグラスを一気に飲み干しして』
⇒酒をあおって、か、一息に飲み干して、でいいような気がするのですが、いかがでしょうか?
◇『お局様が砕けたことで、なし崩しにみんなが「素」に戻る』
⇒……戻りますかね……会社の飲み会で…取引先もいて……まあ、おおらかなんでしょうけど……
◇『S課長は胃を押さえて、机の上にうつぶしてしまっていた』
⇒最後の最後で登場した『S課長』……彼(彼女)の冒険はこれからだ……っ!