時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】

1 題名 

スプリング ハズ カム

2 作者 そらの珊瑚さん
3 投稿 19/02/18
4 書出 『ここにいると季節がない。』

 

重力を振り切って遠くに来たはずなのに、酸素が薄くて息苦しい……四季のない世界に弾き出されたような主人公の孤独が印象的でした。

 

◎あらすじ

 本作は高級老人ホームに暮らす主人公が、かつて捨てた娘の子(主人公にとっての孫)に出会うお話です。

 

◎感想

 冒頭の『たとえばここは宇宙船。機械が壊れたせいで、酸素が薄いからそっと息を吸うしかないのだ。どこへ向かっているんだろう。月、だろうか。月は地球より重力が弱いから、きっと月へ行けばあたしもちょっとは身軽になるだろう』という文章が作品全体にどのような影響を与えるのか楽しみに読み進めていたのですが、あまり重要な要素ではなかったようです……残念。

 

 また、終盤にある以下のやり取りでは、セリフが誰のものか混乱しました。主人公→ヘルパー→ヘルパー→主人公、でしょうか。

『 ベッドにへたりこんだあたしの背中を娘さんがしばらくさすってくれて、少し気分が落ち着いた。
「ありがとう」
「お礼だなんて。仕事ですから」
「そろそろ桜が咲きそうですね」
「春が来るのね」』