第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】
1 題名
母の病室
2 作者 悠真さん
3 投稿 18/12/23
4 書出 『5階の案内板を隅から隅まで確認した結果、その場に立ち尽くすしかなかった。』
面白かったです。
読み始めはナースステーションにでも行けばいいのに、と軽く考えていたのですが、非常階段で『私が一番落ち着く環境だ』と胸をなでおろしている主人公の姿に、何だか納得してしまいました。
肉親の重大事であっても、他者に話しかけるのはどうしても身が竦んでしまう――
そんな主人公には確かに荒療治だったのでしょうが、きっと『母』にとっても苦肉の策だったのでしょう。
笑い飛ばしてはいますが、辿り着いた主人公を前にした母の想いを考えると、不覚にも感動してしまいました。
本作はおすすめです。