第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
田中
2 作者 実さん
3 投稿 19/01/06
4 書出 『田中にはいつにもまして自信があった。』
『靴をネックレスにして首にかけ二十階の高さから飛び降』りるという奇行に走らずにはいられない。
そんな主人公の追い詰められた雰囲気が淡々と羅列されているところが印象的でした。
投稿前に文章の校正をされていらっしゃるか、という疑問と、タイトルにこだわりを感じられない御様子から、もしかしたら書くことが余りお好きな方ではないのかもしれない、と思うに至りました。書く内容よりも「投稿」そのものに重点を置かれているのであれば、きっと作者様にも達成したい目標があるのだろうと思います。それに感想を残すのはもしかしたら不粋なことなのかもしれず、少し気が引けますが……
死にたがりの主人公『田中』が、ネットの噂を実行しようとビルに上ったところで、意図せず転落してしまう、という内容でした。結末がよくわからないんですよね……
案1 『田中』は実は死んでいるが、本人はそれに気づいていない。
案2 『田中』はもともと自死することができない体質で、本人もそれに気づいていない。
案3 『田中』は観念的な存在で、何かを暗に示している。
候補は上記3案くらいでしょうか?
(おかしな日本語文章)
◎『この高さから飛び降りれば生きる見込みはない』
→生きる見込み、とは?
◎『いままで何度も自殺未遂を試みては失敗を繰り返し』
→未遂を試みる、とは? しかも失敗……
◎『死にきれるだけの度胸がなかっただけ』
→死にきれるだけ、とは?
◎『彼のとってみれば』
→誤記
◎『なのしろ生まれてからこのかた』
→誤記
◎『母以外に人に誉められたという経験』
→母以外の、が自然じゃないでしょうか。
◎『努力する気力さえなかったので彼はただ闇雲に生きているから生きている限りで、積極的に生を謳歌しようなどとは少しも思うことはしなかった。』
→「努力することも億劫だった。ただ漫然と日々だけが過ぎた。人生の謳歌など、考えもしなかった」ぐらい分割しても良いような気がします。
◎『枝のしなりを考えれば十分に死ねる高さにない首吊り』
→十分に死ねる高さ、とは?
◎『手首に刃を突き立ててみるものの、痛みを感じなければいけないという恐れから結局は諦めてしまう。』
→突き立てているんですよね? 既に痛いような……
◎『桐でひとつひとつ穴を開け糸を通す』
→錐。変換ミス?
◎『田中は目的の二十階の非常階段の踊り場までたどり着く』
→まず、15階以上の建築物には屋外の避難階段は設置できません。御自身に身近な高層建築物をよく観察してください。また、「特別避難階段」や建築基準法施行令をご確認ください。創作される場合には事前に取材・調査をされることをおすすめします。
◎『手すりに手首をかけようとすると』
→手すりに手首をかける、とは?
◎『田中はそんなことを思いながら再び社会の中へと闇雲に溶け込んでいく。』
→ここで闇雲を使った意図が読みきれない。(そもそも主人公が闇雲に生きていた、という描写もいまいち掴みきれない)