時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

1 題名 

交響曲異譚

2 作者 三明治さん
3 投稿 19/01/06
4 書出 『時は文化5年と申しますので19世紀初頭1808年、処はヨーロッパ音楽の都ウィーンでこと。』

 

時空モノガタリさんで講談調の作品を拝見するのは珍しかったので興味深く読ませていただきました。

 

 

ベートーヴェンの人気は古今の別なく色あせることがありません。実話も逸話はどれも興味深く、それだけ彼の「キャラが立っている」のでしょう。だからこそ研究も多く、人物だけでなく楽曲に関する考察や解釈も潤沢です。きっと作者様もそれを踏まえた上での本作の公開だったのだと思います。

 

「この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。」であるとはいえ、実在の人物の名前や楽曲名を使用する以上、それらを全く無視しての話作りは創作活動の礼儀上ありえないとは思います。

 

……それでも、フィクションに対して無粋であることは承知で申し上げるならば、本作の主軸に据えられていた「運命動機」(同音連打)はベートーヴェン作品において1808年以前(ピアノ・ソナタ第1番(1795年)など)から登場しているので、本作はそういった背景も含めて全くの創作ということになるかと思います。

 

タイトルの『異譚』が耳珍しく感じられました。異聞奇譚の良いとこ取りですね。