第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
ハッシュ
2 作者 村沢走さん
3 投稿 19/01/23
4 書出 『深閑たる平原を抜けると、其処に湖は在って、二人は水上ボートの横に着く。』
『でも勘違いしないでよね。私、ボート乗りたいだけだからね』というセリフに何とも言えない懐かしさを感じました。
べ、別にあんたのためじゃないんだからねっ
読みづらいです(合言葉
本作は、クラスのマドンナとのデートに漕ぎ着けた主人公が、デートの最中に幼馴染の女子のことを思い出して、「実は幼馴染の方が好きなんだ!」とマドンナに告げて自転車で幼馴染の家まで行って「お前の肉料理を食わせてくれ!」と頼むお話です。
……何だかこれだけ書くと主人公が結構、クズクズしいですね。
ただ、彼の名誉のために言うと、主人公は幼馴染にデートのリハーサル相手をさせている時に「あの女は性悪だよ……」と幼馴染に『告発』されているんですよ。
つまり、本当にクズクズしいのはマドンナ……
とはいえ、これまでの素行がどうであったとしても、マドンナが主人公に本気かどうかなんていうのは、マドンナしか知らないのも事実です。もしかしたら主人公に惚れているかもしれません。
そう考えると、ハッピーエンドに向かっていたかもしれない主人公の恋路にくさびを打ち込んでおくという狡猾な手段に出た幼馴染も意外にクズクズしい。
……何だか、登場人物みんなクズクズしくなっちゃいましたね……
あと、ついでですが、冒頭で『二人は水上ボートの横に着く。「乗ろうか」「云」。と呟き合って、其の日二回目のチャンスが来る。』とあるのに、その数行後に、『人知れず夕紅を食み、手漕ぎボートの横迄来る。美織ちゃんは呆けた様に、「こ、此れに乗るの……?」と、呟く。「云。今の時期はコイツが良いよ」と言って、僕は仕舞った。と零してしまう。』はおかしくないですか。さっき、あんなに素直にボート乗るって応えたのに……
というか、乗ってますよね? ボート。