時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】

1 題名 

フィックス・ユー

2 作者 村沢走さん
3 投稿 19/01/23
4 書出 『女だてらに格闘技なんて遣るからには、其れなりの理由が有る筈だった。』

『「違うでしょっ!! 何でっ!! 何でっ!! 分かってくれないの――……っ!!」』という『田中』さんの叫びに共感できました。

 違うでしょっ

 何でっ

  何でっ

   分かってくれないのっ!

 

読みづらいってことを!

 

……これまで、たった2回のコンテスト(【504号室】、【着地】)しか拝読していないにも関わらず、我々を幾度となく「読解力がない……」という絶望感に突き落とすことに定評のある村沢走さんの作品群……通称「村沢劇場」の開幕作品です。

 

本作は野球少年と、和菓子屋の看板娘かつチアリーダーかつ生徒会長の少女の駆け引きのお話です。

 

いつもどおり、読みづらいです。

むしろ作者様は読みづらい文章を探求されているんだと思うんですよ。ここまでくると。特に今回は『―』ダッシュ)と『…』三点リーダ)を多用することによって、よりいっそう難解さが増しています。(これらの記号も、本筋にはあまり関係ない使われ方に感じます)

 

さらに、ストーリー展開もわかりづらいです。

村沢走さんの作品には、鈍感系男子と一途なヒロイン(幼馴染)という設定が散見されます。(ライトノベルでは一時代を築いたともいえる設定でしょう)

 

今作での進行や要素を箇条書きすると、下記のとおりかと推測されます。

 

・主人公が草野球で活躍。ヒロインが学友に告白されたことを知る。

・主人公は「今度の試合でホームランを打ったら正式に付き合ってほしい」とヒロインに申し出る。

・主人公の結果はふるわなかったが、学友がヒロインにフられたことを知る。

・主人公はヒロインと対面し、暴力をふるわれる。

・主人公は謝る。

・ちーがーうだーろーっ!  違うだろーォッ!!  違うだろっ!!!

・女心ってやつはわからない。

 

とまあ、こんな流れかと思うんですけど、要素だけで考えると「理由を付けて行動(告白)してこない主人公に痺れを切らしたヒロインが発破をかけるものの、主人公が融通利かないマンなので何も進展しない」という話なのかと思います。でも、それだけの話なら、もっとあっさり書けると思うんですよね。何でこんなに読みづらい上に、登場人物に感情移入しづらいんでしょうか? 普通、そんなこと考えるか? ていう躓きなんでしょうか……

 

あと、冒頭の格闘技の書き出しと、ヒロインの生徒会長設定はあまり役立っていないように感じました。