時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】

1 題名 

手花火オフィス

2 作者 アシタバさん
3 投稿 19/02/17
4 書出 『日付が変わったというのに二人の社員が職場に残って残業と格闘を続けていた。』

 

深夜のオフィスで男女の同僚が向かい合って小さな光にはしゃいでいる、という場景が非常に好みでした。それにしても、楽しいことや嬉しいことを一緒に見つけてほしいという言葉は殺し文句ですね……面映い、とはかくありきと感じられました。

◎あらすじ

 本作は、残業をして疲れている女性に同僚の男性が手から花火を出してみせて、そのやり方を教えたところ「一緒に嬉しいこと楽しいことを見つけませんか?」と女性から提案される作品です。

 

◎感想

 職場モノの恋愛話で良いのが、学生時代と違って年齢幅が操作できる点だと思うんです。ええ。また年齢の話をしていますが!

 

 本作でも登場人物達の年代は出て……ない、ですよね? 読み落としが恐いですが、あえて、書かれていないという前提で話を続けましょう。作中、男性と女性が出てきます。男性は『先輩』と呼ばれているので、おそらく年上なのでしょう(入社時期の違いかもしれませんが……

 

 で、まずはオーソドックスに20代半ば女性vs.30代前半男性ですよ。この同年代に括り切れない年の近さは魅力的ですよね。女性が引っ張るタイプだとなお引き立つといえるんじゃないでしょうか。

 

 次に20代女性vs.50代男性。もはやもう……これもいいですね。熟練しつつある男性が若さに引っ張られまいと無意識下でかけるストッパーを容易に飛び越えてくる年の差に痺れますねえ。

 

 最後に40代女性vs.50代男性ですよ。すごいですね。なんというのか、表面的には社内でもバリバリの仕事人で見られる二人が、人目のないところではこんなに初々しいとか最早、反則級の設定と言っても過言ではありますまい。

 

 まあ、わたしの妄想です。何度でもおいしいです。

 

 

 ついでに、気になった文章などをつらつらと……

 

『二人の社員が職場に残って残業と格闘を続けていた』

 →『残って残業』という日本語が気になりました。

『男は疲労が色濃い後輩を心配になった』

 →男は疲労の色が濃い後輩が心配になった、ではダメですか?

『心配しなくてもすぐに気持ちの良い音がした。そう、まるで何かが弾けるような』

 →『手花火』の仕組みがよくわかっていないんですけど、男性が最初に言っていた『「弾けろ」』という言葉は、語り部的には『男はその光にむかって命令を下す』ということらしいので、『二度とこの世界に音は戻らないと思うくらいの静寂』では命令できていないんでは?