第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】
1 題名
部屋
2 作者 hayakawaさん
3 投稿 18/12/18
4 書出 『圭介は春香のお見舞いに来ていた。』
トイレをこじ開けてでも別れを告げる彼女の勇ましさというか、決めたことをやり抜く真っ直ぐさが際立った作品でした。
地の文がブツ切りで、情景描写も最低限だったので、読後はプロットかと思いました。(タイトル的にも…)
でも、投稿されているということは完成作品なのでしょう。
だとすれば、描写を省きすぎていると感じます。
失礼を承知で申し上げると、文章に引っ掛かりが多すぎて、内容について感想を言う以前の問題です。
(個人的にひと言…)
◎『彼女は重篤な病を抱えている』
→重篤、というのは症状を指すものだと思っていました。
◎『「ねえ、春香。死ぬ前に何がしたい?」』
→何というか……何の描写もなくこういうセリフを書くことができる事実が信じられない、という気持ちです…
◎『「私はもうしたいことはないわ」』、『「私は何かこの世界に自分が生きた証拠を残したいなんて」』
→単純に読みづらいです。
◎『「じゃあ、何かしたいことは?」』
→『「ない」』、て言ってるのに…『「じゃあ」』、て…
◎『圭介は窓の外の景色を眺めた。ビルが並び、街灯の明かりが見える。公園の木の葉が道路を覆い隠していた。』
→『圭介は椅子に座り』から動きがないのに、どうして路面状況がわかるのか不思議です。
◎『帰り道を歩いていた。鳥が空を飛んでいた。春香と出会ったのは高校生の頃だった。今はお互いに大学生だったが、春香は大学をもう辞めてしまった。
週末に圭介は一人暮らしの部屋でウイスキーを飲んでいた。なんだかいつもより酔いが体に回るのが早い。それで意識は朦朧としていた』
→…たとえ絵コンテでも、もう少し情報が書かれると思うのですが…
◎『「504号室よね」』
→確認の意味とは?
◎『「ねえ、最後くらい二人で昔みたいに過ごしましょ」
春香の手には赤のワインボトルが茶色の紙袋の中に入っている。
「飲むの? それ」
「うん」』
→高校生で出会った二人。今は大学生。浪人期間は考えないとして、ワインを飲みあう『昔』とは……?
◎『「春香が死んでしまうなんて考えたくなかった。だから僕はずっと感情を抑えていたのに」』
→説明口調のセリフが場の雰囲気にそぐわない気がします。