第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
犯罪差別
2 作者 戸松有葉さん
3 投稿 18/12/25
4 書出 『同じ境遇の人たちが集まり、交流することはよくあるが、その集まりは少し特殊だった。』
『結局、議論とも愚痴とつかない話に終始してしまう』という箇所が上手く活かされていると感じました。
「犯罪行為に関係した者は加害・被害の別なく全ての関係者が差別を受けている」という前提のもとに、「犯罪行為に起因する差別の解消方法」は「犯罪行為の要因となる差別を理性的に抑える」という、作者様自身もぐるぐる巡っている感を受ける作品でした。
レポート的です。モノガタリ性はほぼ感じられませんでした。
『社会には、これまた明確に、差別が存在している。一般人・企業・マスコミはもちろん、時には公的機関や役人までが、差別を当然のようにしており、それを社会全体として容認しているのが実態だ。具体的な不利益があってさえも、事実上法に訴えることはできない。おそらくは法が整備されていっても、多少程度が軽くなるだけで終わる。それに法では裁けない差別は絶対に残るのだから、そこは決して変わらない』
上記の箇所は「法を整備しても差別はなくならない」ということをおっしゃているのだと思うのですが、当たり前というか……わざわざこんなに文字数を割かないで、もっと着地点を模索していただきたかった気がします。
全体を通して『差別』の定義が曖昧だと感じました。(『就職就学から婚姻、親戚関係、友人関係に至るまで、不当な扱いを受け、排除される』は大味すぎませんか)