第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
足枷同盟
2 作者 小高まあなさん
3 投稿 19/01/20
4 書出 『三十代後半。』
面白かったです。
部屋の中を5cm浮いた状態で移動するのは大変そうだと感じました。
『歩いても進まないので、家具に捕まりつつ、手で進む。』とあるので、手が何にも届かなかったらきっと絶望しただろうな、と感じます。
翌朝になって浮いていたということは、寝ていても浮いていて、きっとトイレもままならないことでしょう。
コンテストテーマに強く引っ張られていると感じはしましたが、シンプルな構成で好感が持てました。個人的には『やべーやつだから関わらないようにしているのかと思ってそう聞いてみると、変な顔をされた。今この瞬間にやべーやつになった。』の箇所の軽妙さが特に好みでした。
一方で、「地に足のついた」の理解の仕方に疑問も感じます。
まず、主人公も『バカ』にされている、『ムカムカ』する、と感じているわけですから、慣用句の意味は掴んでいるかと思います。
その上で、主人公はどう考えていたのでしょうか?
案1 「自分は安定しているのに『地に足つけろ』と的外れな助言をされた。相手は自分のことを理解していない。ムカムカ」
案2 「自分が不安定であることは理解している。解決できるならしている。現状そうじゃないんだから察しろ。ムカムカ」
案3 「自分は安定を求めていない。『地に足つけろ』などという助言自体が不快だ。ムカムカ」
案4 「『地に足つけろ』の言葉の意味はわからないが、バカにされた雰囲気を感じる。ムカムカ」
案5 「自分は不安定だが、その現状を改善しようとは考えていなかった。現状認識の甘さを指摘されたようで不快だ。ムカムカ」
おそらく5じゃないかなあ、と思ったんですが、どうなんでしょう?