第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
冤罪のない国
2 作者 戸松有葉さん
3 投稿 19/01/21
4 書出 『「不当逮捕だ! 大使館に連絡しろ!」』
どうしてこの外国人は逮捕されたのでしょう。背景が気になりました。
『冤罪のない世界で唯一の国』として知られる某国――かつて冤罪大国であったこの国で、ある外国人が不当に逮捕される。「これは冤罪だ」と主張する彼に、弁護人は『「冤罪にはならないのです」』と告げる。なぜか――それは、これから彼に罪状どおりの罪を犯させるからだった……
……どのあたりが『画期的な解決法』なのかわかりませんでした。
既存の作品で、未来人がやってきて「お前は何年後にこれこれの大犯罪を実行する。今からお前を消去して、未来を変える」とか、人間の性質がシステム管理されていて「犯罪を起こしそうだから今のうちに矯正する」みたいな設定がありますよね。
どれも面白いんですけど、本作はそういうお話じゃないんですよね。
とにかく、容疑がかかって、逮捕されて、「冤罪だ!」と主張したら、その罪状をなぞるように犯罪を実行させる、というお話なんです。つまり、人に危害を加えた人(あるいはそうしたと思われる人。または何となく捕まった第三者)がいて、その人が逮捕されて、「冤罪だ!」って主張したら、また危害を加えさせるわけです。(被害者が回復不能なダメージを負っている場合、どうするんでしょうね?)
……何というか……子どもの喧嘩みたいだとは思いました。
「バカって言っちゃ駄目なのにバカって言った!」
「バカなんて言ってないもん!」
「いま言ったじゃん!」
(蛇足)
時空モノガタリさんは募集要項で『小説・エッセイ等の散文であればスタイルは問いません。』とおっしゃっているんですが、小説なのかエッセイなのかよくわからない作品もたまにお見かけするんですよね……投稿作品のカテゴリーが選択できる仕様にはなりませんか? なりませんよね……