第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】
1 題名
僕は棒高跳びの選手だった
2 作者 青苔さん
3 投稿 19/01/21
4 書出 『呼吸を整え、左足を一歩前へ。』
誰かのことを考えながらジャンプに挑む主人公の熱意が伝わる作品でした。
主人公・僕は棒高跳びの選手であったが、ある怪我をきっかけに競技から離れてしまう。ところが、『彼』の存在を糧にもう一度、棒高跳びに挑戦する、というお話です。
『彼』とは?
おそらく、本作をお読みになった読者の皆様も同じ疑問を抱かれたのではないでしょうか? 少なくともわたしは思いました。『彼』とは何者なのか?
ここで『彼』の情報を整理してみましょう。
・彼と出会ったのは『跳べなくなった僕』
・彼と出会ったことで『一度逃げ出した僕が再び跳ぼうと思った』
・彼は『僕に人生のイロハを教えてくれた』
・彼が僕に教えてくれたことは『仲間は何より大切なこと、自分の身の守り方、傷の治し方』
・僕は『彼といると、自分がいかに温室育ちで、無知であるかを思い知らされた』
・『彼は本当に聡明で勇敢だった』
・僕にとって『彼は大切な友人』
・僕にとって彼は『世界を教えてくれた人』
・僕が彼に対して感じることは『鳥籠の中にいていいはずがない』
・彼は『前へ進むことを躊躇していた』
・彼は『自分はどこにも行けないと信じていた』
・僕が彼に伝えたいメッセージは『壁は乗り越えられる』、『彼の背中にも翼はある』、『彼は自由なのだ』、『望む場所、どこにでも行ける』
・『今思うと、本当は、彼に僕自身を重ねていたのかもしれない』
かなり文量が割かれていますが、それほど情報量は多くありません。要するに『彼』が何者なのかは本文からはわからないわけです。
マクガフィン……と言ってしまっていいのかどうか……