第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
夏、弾ける
2 作者 文月めぐさん
3 投稿 19/02/07
4 書出 『自転車のペダルをぐっと踏み込む。』
ド王道の展開に身悶えました。大学一年生の夏……彼ら、彼女らは二年生、三年生……とどのような夏の景色を見るのでしょう。きっと、そこにもパンッと弾けるような瞬間が目白押しなのでしょうね。個人的に『額の汗が、止まらない。これでは化粧が落ちてしまう。』という箇所が好みでした。
本作は、大学一年生の夏に学友達と花火を見に行こうと約束したものの、電車の事故で合流が難しくなった主人公が、気になる男子と二人で花火を見に行くお話です。
ド王道です。
この青春ド王道感は、既に絶滅危惧種ではないかと思うほどです。だって、夏の花火ですよ。友人達が電車が遅れて合流できないんですよ。同じ学科の男子と偶然、会っちゃうんですよ。それで二人で花火見て、「もしかしてお前、俺のこと嫌い? 他の奴とは普通に話すのに、俺だけ別じゃん……でも、俺もお前と何、話していいのかわかんねえんだ。緊張すんだ。俺、もっとお前のこと知りたい。俺、お前のこと……!」
ドーンッ(花火
ちなみに、【弾ける】のコンテストで季節はずれながらも恐れずに夏の花火を扱った作品は、その花は、さっきより少し鮮やかに見えた ― 作者 陽川 文実さんがあります。余命幾ばくかの彼女と、約束の花火を見に行くお話です。王道ですねえ。
本作で作者様らしさ、というか、オリジナリティはどこに表れていたでしょうか?
登場人物を高校生にしそうなところを、大学一年生に設定した点でしょうか。他に何があるのか、わたしには上手く見つけられませんでした。