第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】
1 題名
炭酸使いのMくん
2 作者 待井小雨さん
3 投稿 19/02/15
4 書出 『「僕には炭酸飲料の泡を操る力がある」とクラスの地味男子・Mくんが言った時、誰もが何言ってんだコイツ、と思った。』
注目してほしい、特別に見られたい、他者の記憶に残りたい、という『Mくん』。何かを成して記憶されるよりも、気味悪がられることで印象を残したいとする彼のどろどろとした顕示欲の強さが感じられる作品でした。
◎あらすじ
ある日突然、同級生の『Mくん』が自分には超能力がある、とクラスメイトの前で宣言する。その話をまともに受け止める者は誰もいなかったが、主人公は何でそんなことを言い出したのかと問いただす。クラスメイトの記憶に残りたいという彼の願望を聞いた主人公は、手持ちのペットボトルを差し出して、間接キスでもしよっか、と持ちかけるのであった。
◎感想
思春期なんだそうで。
初め、そこの部分を読み逃していて、一体『Mくん』は何歳なんだ? と思いながら読んでいたので、(学校などの所属が登場しないこともあって)脳内イメージでは19歳の情報系専門学生も有りか無しかで言ったら、有りでしたよ。19歳でこの言動だとしたら……それはそれで面白そうですけど……
他人と違うと思われることで、自分を印象付けようとするあたり、中二病っぽくも感じられるのですが、正直、交流のないクラスメイトにそこまで印象付けたいと志した背景には何があったのか気になりますよね。
卒業シーズンなんですかね。
あるいは『Mくん』がどこか遠くに行っちゃうとか。
あるいは『Mくん』は消えちゃうとか。
消失系かあ……辛いなあ……