時空モノガタリ-感想録

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いまのひとこと 読まねば

第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】

1 題名 

黒猫のおくりもの

2 作者 吉岡幸一さん
3 投稿 19/03/06
4 書出 『黒猫はいつも港近くの郵便局の前で昼寝をしていた。』

 

老いた猫、老いた郵便局員、老いた港町――作中でたった一人の少年として登場する主人公が寂寥感を和らげていると感じました。また個人的には、『「おまえは俺がいなくなってもここに来るのかな。晴れた日は毎日ポストの上に乗って寝るのかな」』というセリフがとても好みで、去る者、残る者という構図が一人と一匹の存在感を際立たせていると思いました。

 

あらすじ

 寂れた港町に暮らす小学生の主人公・サトシ。2か月前から郵便局に現れるようになった黒猫を愛でる日々を過ごしていたが引っ越すことになる。引越の前日、郵便局に黒猫を見に来た主人公は、郵便局員からポストの上に黒猫のような模様をした貝殻が残されていたことを伝えられる。

 

感  想

 コメントさせていただいた内容でほぼ全てです。

 雰囲気のある良作だったと感じます。

 

 あえて何か付け加えるとするならば、小道具として登場するイタヤ貝の殻の狙いを掴みかねている、というところでしょうか。

 

 一義的には、引っ越す主人公へ自分の姿を模したグッズの餞別、というのが王道でしょうが、それだけだと物足りないし、実際それだけとも思えないんですよね。

 

 最後の重要場面で登場するわけですから、作中に登場する以下のような疑問の答えになっているんじゃないかとも推察しているんですけど、わたしには読み取れませんでした。

 

① 黒猫はどこからやってくるか?

② 黒猫はどうして鼠の死骸等を持ってくるのか? お礼か? 自慢か?

③ 黒猫は主人公が引っ越した後も郵便局に通うのか?