時空モノガタリ-感想録

2000字小説投稿コンテストサイトの「時空モノガタリ」でコメントした内容を記録しています。

いまのひとこと 読まねば

【弾ける】の個人的傑作選

投稿数58件。弾けていない件数にも思えますが、重要なのは件数じゃないと思いますよ。ええ本当に。じゃあ、何が重要なのか? わたしが好きになれる作品があるかどうかですよ。ええ! 自分勝手ですみません!

 

やはり、コンテスト募集ページ画像のイメージが強く働いたのか、【弾ける】に対してシャボン玉を入れてくる作者様が多かった印象があります。他にも、読み方を変えて楽器が弾(ひ)ける、を使った作品も見受けられました。さらには花火や、炭酸飲料も人気でした。赤い実はじけた、的な恋愛ストーリーも見られましたね。この辺りの多様性は事務局さんのテーマの選び方の巧みさ故でしょう。

 

では、本コンテストにおける傑作を個人的な好みで選出したいと思います。(わたしが読んだ範囲ですが……)

 

01.

メロンソーダでよろしいですね (作者:悠真さん)

とにかく登場人物のやり取りの軽快さが秀逸。背景描写がほぼないのにここまで読ませる作品はすごいと素直に感じました。身近に感じる題材ながら、こうやって作品に仕上げるのか、と感心してしまいます。コンテストテーマにも合致していて好感が持てました。

 

02.

雨つぶ (作者:吉岡幸一さん)

超短編であっても場景描写の重要さを再認識させられた秀作。主人公の見つめる空気がきちんと描かれているところが好みでした。一部のセリフにやや冗長さを感じるものの、作品全体の穏やかさを崩すことなく結末まで繋げた手腕が光る作品でした。

 

03.

膨らんじゃった絶望 (作者:繭虫さん)

【弾ける】というタイトルに対して、今まさにそうなる瞬間、を描いた場面の選択眼が素晴らしいです。その一方で文章の読みづらさがどうしても目立ってしまい作品としては勿体無い、としか言いようがないのですが……

 

04.

いつか爆ぜた心 (作者:野々小花さん)

読み終わった後にタイトルを見ると2度美味しいです。ヒロインの設定が盛り過ぎな気もするのですが、主人公が無意味に萎縮していないところにテンポの良さを感じます。暗めのテーマながらも明るさを感じられる結末も個人的には好みでした。

 

05.

エナジードリンク「弾ける」 (作者:小高まあなさん)

主人公にとっての【弾ける】が、ある人にとっては至極普通のことであるというところに魅力を感じました。それを経験した主人公が一定の満足と、脱力を同時に感じるところにも生身の人間としての実感が滲んでいるようで、リアルすぎないリアルさが心地良かったです。